遺伝的背景の明らかな大阪産野菜の食品機能性の評価および機能成分の解明を行うことを目的に、本年度は大阪特産の葉ゴボウに着目し、そのビタミン含量および主な抗酸化成分であるクロロゲン酸とルチン含量の季節変動を追跡した。3月19日に収穫した葉ゴボウの葉柄と根の100g当たりのビタミン含量は、それぞれβ-カロテンが144.4μg、0.0μg、α-トコフェロールが0.27mg、0.59mg、アスゴルビン酸が7.7mg、5.4mgであった。一方、葉身100g当たりの含量は、β-カロテンが7141.1μg、α-トコフェロールが4.38mg、アスコルビン酸が141.9mgであり、いずれも極めて高濃度に含まれていた。また、季節的な変動は認められるが出荷全期間においてβ-カロテン7141.1〜8126.8μg、α-トコフェロール3.91〜5.02mg、アスコルビン酸82.9〜141.9mgと高い濃度を維持しており、ビタミン豊富な食材であることが明らかになった。一方、3月初旬〜4月中旬にかけて10日ごとに収穫した露地生産の葉ゴボウの葉身に含まれるクロロゲン酸およびルチン含量の経時変化を追跡したところ、両化合物の含量とも3月初旬が最も低くその後日数の経過とともに上昇傾向を示し、4月10日収穫分の含量が最も高値を示した。食品の抗酸化性の評価指標として最近注目されているORAC(活性酸素吸収能力)の測定を同時に行ったところ、クロロゲン酸、ルチンの増加に伴ってORACも上昇し、4月10日収穫の葉ゴボウ葉身が最も強い抗酸化性を有していることも判明した。すなわち、出荷最盛期の葉ゴボウが最も抗酸化成分の含量が高く、抗酸化力の強いことがわかった。また、越前で露地栽培した葉ゴボウの3月30日収穫分の分析を行い、大阪で3月30日に収穫した葉ゴボウと比較したところ、クロロゲン酸、ルチン含量とも大阪産の葉ゴボウが高く、ORACも高値を示した。以上のことから、日照時間やその強度が抗酸化成分の含量に大きく関与しているものと推察される。
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