本研究の目的は、細胞および実験動物を用いて各種機能性食品や抗酸化物質を投与することによる、細胞や動物の応答を評価することである。脂質酸化生成物マーカーやストレス応答タンパク質の変動を指標とした食品含有成分の機能評価法の確立を目的とし、最終的には動物実験によらず細胞実験で食品機能評価、抗酸化物質効能評価を達成することを目標とする。本年度は主として細胞実験でのストレッサーによる酸化ストレスマーカーの変動詳細検討(論文受理:1番目に記載)および動物へラジカル開始剤投与による脂質過に対する酸化ビタミンE機能評価(論文受理:2番目に記載)を達成した。 (1)培養細胞を用いた抗酸化物質およびその代謝物のストレス応答解析 抗酸化物質として代表的な化合物であるビタミンE(トコフェロール:T)と、その酸化的代謝物のひとつであるトコフェリルキノン(TQ)の培養細胞におけるストレス応答の評価をした。 (2)実験動物を用いたビタミンEの抗酸化能評価 ラジカル開始剤の給水による脂質酸化の上昇に対する、ビタミンE(α-T)摂餌による効果を評価した。 (3)白内障患者における酸化ストレスと抗酸化物質状態 50-70歳の男女40人の血中において、健常者と比較して初期の白内障患者では血中の脂質酸化生成物(9および13ZE-HODE)が有意に高いことが認められた。 2009年度は引き続き機能性食品、抗酸化物質の動物実験の代替リスク評価法確立へ向けてより詳細に研究を進める。上記記載の通り、本年度の目標に対してほぼ予定通り研究を遂行し、国際誌2報に掲載される成果を得た。
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