本研究では、豊富な標本資料、学術的成果、体験を通じた科学技術教育活動のノウハウ、いつでも何度でも利用することのできる常設展示、幅広い領域で活動する研究所といった学習資源を利用して小学校教員養成課程支援するプログラムを開発実施・システム化し、これを将来的には各地に普及することにより相乗的な効果をもたらすことを目的としている。 今年度は、海外(イギリス・フランス・ドイツ・オランダ)と国内の実地調査を行い、昨年度に引き続いて小学校教員養成課程や学生の実態を探ると共に、汎用化できる支援プログラムやシステム化の方策について専門家から意見を聴取した。 海外調査においては、教員養成期間での実態や博物館の効果的な寄与のあり方等について、地域の実態との係を中心に調査を行い、各地域の特徴から我が国の状態への適応について検討を行った。 国内調査においては、平成19・20年度に行われた「先導的大学改革推進委託事業」で得られた知見を参考にしつつ、博物館と連携した教員養成支援プログラムに対する各大学のニーズについて聞き取り調査をした。それより、自然体験を増やすこと、専門外の視点により気づきを促すこと、日常と結びつけることについて助言を得た。 また、博物館と大学が連携して単位を取得できる講座を開設するなど、学生が参加せざるを得ないようなシステムを作ることに対するニーズが聞かれた。一方で、現在単位化を検討している大学からは、必修の講座では全体のモチベーションが低下するという問題も指摘され、選択必修というかたちで意識の高い学生を集めた方がよいとの助言も得た。
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