研究概要 |
(1)教育実習支援の実践 平成20年度までに開発したシステムは,1.状況に応じたポートフォリオの収集が,ネットワーク上から可能.2.教育実習の風景はビデオ会議システムを介して参観でき,ポートフォリオとして保管できる.3.実習生の作成した学習指導案や教材について,他者がコメントを記入できる.4.実習生のスケジュールの管理ができ,次のアクションの支持ができる.5.すべての操作を履歴として残すことができ,後に参照できる.6.ポートフォリオの自律的な連携により,アクターに能動的な指示を与えることができる.などの機能を持つ.平成21年6月から10月までの断続的な教育実習期間において,附属学校の教員の協力のもとにこれらの機能を活用し,教育実習のポートフォリオの蓄積を行いながら,実習の支援の実践を行った. (2)支援環境および自律型ポートフォリオの評価 (1)で収集したデータと附属学校教員,教育実習生のアンケートから,さまざまな場面で収集されたポートフォリオを連携させることは教育実習支援として有効であることを示しており,さらに実習後の内省にも有効であることが分かった. (3)結論 教育の現場において発生する様々なデータをポートフォリオとして蓄積し,これらのポートフォリオ間で自律的な連携を行わせることが重要ではないか.本来ポートフォリオは,学習者の生活場面のすべてを含むものでなければならないが,本研究では教育実習という限定された場面だけを考えてシステム開発を行い,実践によりその有効性を示すことができた.このような限定された場面での成功とはいえ,このシステムを拡張することにより理想的なポートフォリオシステムの開発が可能であることを示している.しかしながら,ポートフォリオ間の通信量の増加や蓄積されるデータの容量など,単にシステムの量的な拡大だけでは済まない技術的な問題も残されている.
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