研究課題
本研究では、教育現場または研究機関という教員の所属、場所・時間、専門分野の制約を越えて教育実践知を可視化・共有し、さらに再構築できる"場"としての電子ネットワーク基盤の形成と、"コンテンツ"としての教育実践知を可視化・体系化する映像リソースの開発を目的としている。本年度は、昨年度に行った開発に基づく改善、および本ネットワーク基盤の総括的評価を行った。具体的に行った研究とその成果は以下のとおりである。まず、ネットワーク基盤の改良とさらなる利用促進のため、効果的なネットワーク基盤としての「場」の改善を行った。昨年度におけるSNS (Social Networking Service)の試験運用では書き込み自体の質や継続性などに改善の余地が見込まれたため、今年度はネットワーク参加者の発言機会、発言する動機付けの向上を目的としたシステム改良を行った。主な改良点は、(1) SNSにおける参加者の興味・関心をより分かりやすい形で他者へ可視化する、ユーザプロファイル自動更新機能、(2) 継続性のあるコミュニティー形成を実現させるため、SNSに書き込まれた実践知を可視化し、関連した専門知識同士を結びつけてより強化する機能、の2点であり、これらをテキストマイニング、協調フィルタリングの技術を応用して実装した。次に、ネットワーク基盤の総括評価として、改良したSNSにおいて、特定コミュニティーにおける実践評価を実施した。質問紙調査、インタビュー調査を行い、SNSのユーザビリティー、他者との意思伝達のしやすさ、他者の書き込みへの意識変化等を検証した。さらに、SNSの書き込みデータを解析し、参加者の知識・意識・行動の変容を明らかにし、参加者同士のネットワーク形成の変化もログデータの分析により検討した。実践評価の結果、分散した実践知の共有には、知識の自動的な可視化と、関連する分散知を集合知へ変化させることが有効であることを明らか.にし、本研究課題で開発したネットワーク基盤が、さらなる知の再構成、創造を促進する可能性を示した。
すべて 2010 2009
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (7件)
International Journal on E-Learning(IJEL)Corporate, Government, Healthcare & Higher Education Vol.9, No.2(印刷中)
日本教育工学会論文誌 35
ページ: 121-124
Mobile and Ubiquitous Commerce : Advanced E-Business methods : Volume 4 of Advances in Electronic Business Series(Hershey, PA : IGI Global)
ページ: 201-209