研究概要 |
本研究の目的は大学における授業改善をするために,オンライン学習において考慮すべき学習者特性を明らかにし,教授設計の指針を確立することである.本研究の実施にあたっては,国内の研究協力者1名,米国の研究協力者3名とともに実施した. (1)日米間の事例および結果の比較 オンライン学習の実施形態による学習への影響を調べた.米国では,オンラインで実施された2つの大学,学部授業を対象として,授業終了後に受講学生に対して教員によるヒアリングを実施し,受講学生からの意見を収集した,また,学生の性格などの学習者特性も調査し,関連を検討した,日本側では,オンライン学習を推進する大学で実施されたオンライン学習を利用する学部授業で実施された調査結果を分析した.これの結果を基に,日米間での違いなどを検討した. (2)情報技術の違いが学習行動に及ぼす影響分析 学習者特性である情報リテラシーの調査を行って,学習行動に及ぼす影響を検討した,情報リテラシーは二次因子分析を行い,操作と態度に関連する二次因子を抽出した.学部の対面授業とオンライン学習を併用するブレンド型授業と,オンライン学習だけのフルオンライン授業で受講者の特性を比較したところ,フルオンライン授業を履修した学生の操作に関する情報リテラシーの得点は,ブレンド型授業の学生よりも高かった.学部と大学院のブレンド型授業で比較したところ,学部の授業では操作に関連する情報リテラシーの関与が認められたのに対して,大学院では,態度に関連する情報リテラシーが関係することが明らかになった. (3)授業設計の改善が学習行動,学習効果に及ぼす影響の分析 同様の形態で行われた3年間の授業について,学習者特性と学習行動との関係を因果分析し,年度間の違いを検討した.その結果,オンライン学習の利用方法を明確にすることによって,学習に積極的に利用しようとする行動が現れた.
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