21年度は、研究テーマ全体を細分化した機能として(1)協調学習資源の再利用・再参照を促す可視化システム、(2)LMS間で学習資源を相互参照するシステム、(3)自然言語処理により学習者発言を解析し、意味や役割を付与するシステム、の3サブシステムを開発した。(1)では基礎的な議論構造をリアルタイムで可視化し学習者グループにフィードバックする機能を開発した。また可視化したグラフの発言部分をクリックすると発言内容がポップアップ表示され、発言の参照性を高める機能を追加した。(2)では相互参照を自動で行う際に、学習者の許諾により参照の可否を設定する機能や、有用な情報に限って参照させる機能を設け、情報流通の意味的な効率を向上させた。(3)では深層格解析による発言の役割推定を試みたが、精度が50~60%と低く、実際の学習活動にあたっては人手介入が必要なレベルであることが判明した。このため、発言入力にあたって部分的に自然言語処理を適用するが、発言における文間の意味的な関係や、文における節の意味的構造を人手で追加入力する機能を今後追加する必要がある。これにより発言間の意味的なマッチングや関連発言の検索・表示といった高度な議論支援が自動的に行われる基盤とする。
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