協調学習発言の自動参照支援を目的とし、自然言語処理および人手による参照情報付加を行うシステムを開発した。まず、単文中のSVO情報(主語-述語-目的語)を付加するシステムでは、既存の係り受け解析によるSVO情報の不十分さを補完するため、発言者にSVO情報を提示し、それをマウス操作で修正するインタフェースを開発した。特に、節にSVOを含むような階層的な文に対しても表示・修正できる機能を追加した。次に、複数文の意味的な関係を顕在化させるため、修辞構造理論(Rhetorical Structure Theory : RST)に基づいた文間関係候補を提示し、発言者が修正するシステムを開発した。接続詞などから機械的に判断できる表層の文間関係は精度が低く、推定したRST関係は発言者の意図を反映していない危険性がある。これに発言者の意図を反映することで、RST関係の意味的な精度が向上する。以上2種類のシステムによる解析・修正結果はデータベースに保存され、発言-文-SVO-単語の階層と各々の属性が付加されたツリー構造として表現される。 上記システムの評価は少人数による実験的な規模に留まっており、今後大人数を対象にした実験を通じて評価する必要がある。具体的にはインタフェースの操作性、修正の容易さ、また人手修正によるSVO・RSTパラメータの改善度合いを評価する。また現在格納されているデータのツリーは非定型であるため、リレーショナルデータベースへの格納は効率が悪いことが判明している。今後XMLでの表現とXMLデータベースへの格納を計画している。
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