研究課題
基盤研究(B)
佐賀藩が諸藩に先駆けて反射炉を築設した要因の解明のために、佐賀藩が翻訳した翻訳書を検討した。膨大な原書の中から必要な事項を翻訳していることから、高度の蘭学力と鉄融解の知識を保持していたことが判明した。反射炉が構築された佐賀、安心院、六尾、韮山について、反射炉跡地出土の鉄を収集しX線吸収微細構造(XAFS)、中性子放射化分析(NAA)などで行った。佐賀藩築地反射炉で鋳造された鉄が砂鉄か鉄鉱石であるかが議論されていることから、分析の結果は鉄鉱石と判断された安心院、六尾、韮山では砂鉄が使われたわれたことが判明した。戸栗美術館蔵の鉄製大砲を中性子放射化分析(NAA)法で行った。この鉄製大砲はアメリカ製とする見解が出され議論になっている。この見解の検討でもあった。奥出雲のたたら製鉄について調査した。たたら炉では水分を取り除くために炉の基礎部分には細かい技法が使われていた。鹿児島藩の反射炉でも水分を除くために、基礎部分堅牢な石組みがなされている。佐賀藩と韮山の反射炉の鋳坪調査は行われたが、基礎構造までは調査されていないけれども、たたら炉の基礎造りが用いられたとみなされる。19世紀後半期における中国の鉄製大砲鋳造技術の調査を桂林で行った。広州師範大学博物館に鉄製大砲が保管されていた。製造年も明記されており、堅牢な造りであった。太平天国記念館には太平天国軍が使った鉄製大砲が展示されていた。小型で粗悪であった。
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