研究分担者 |
山本 直人 名古屋大学, 文学研究科, 教授 (60240800)
奥野 充 福岡大学, 理学部, 准教授 (50309887)
増田 公明 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 准教授 (40173744)
木村 勝彦 福島大学, 共生システム理工学類, 准教授 (70292448)
南 雅代 名古屋大学, 年代測定総合研究センター, 准教授 (90324392)
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研究概要 |
14C年代と暦年代との関係を示す世界標準データセットとされるIntCa104に対して,日本産樹木の検定を行うために,既に年輪年代が明らかとなった屋久杉の年輪試料を1年輪に分割して14C年代測定を行った.その結果,AD1340-1425の年代範囲で,IntCa104データに比べて屋久杉年輪の14C年代が古く得られる傾向が見られた.この傾向は,Nakamura et al(2007)が報告したAD881-1092の区間の傾向と同様である.日本の樹木年輪が,ある年代範囲で14C年代がIntCa104データに比べて古く得られる点については,その原因を詳細に探る必要が指摘される. 石川県の真脇遺跡では,縄文晩期に構築された構造物とされる環状木柱列が発見されている.木柱の位置に基づき6個の環から構成されること,更にそれらの発掘状況から新旧の区分がされている.新旧の環を構成する木柱の年代から,構造物が構築された時期とその存続期間が明らかになる.木柱はすべてクリ材であるため,現時点では年輪年代法を適用することはできない.そこでクリ材年輪の14C年代を測定することにより,ウイグルマッチングを行った.4本の木柱の現存最外年輪の推定暦年代は,801+17/-14,780+8/-8,708+31/-32,685+33/-11 calBCと得られた.後者の2本の木柱については,年輪の年代測定数を増やして,誤差を小さくする必要がある,ウイグルマッチングの有効性を吟味しながら追加測定する年輪を選別する必要がある. 真脇遺跡出土の木柱の一部は,IntCa104データで,暦年代の変化に対して14C年代値の変化が少ない領域に位置するため,ウイグルマッチングが有効に使えない.従って,上記のように,若い年代を示す2本の木材ではマッチングの誤差が大きくなる.この場合には,年輪数が少ないことも問題点の一つである.
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