研究課題/領域番号 |
19300301
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
南 雅代 名古屋大学, 年代測定総合研究センター, 准教授 (90324392)
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研究分担者 |
淺原 良浩 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 助教 (10281065)
山本 鋼志 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 准教授 (70183689)
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キーワード | 古人骨 / ストロンチウム同位体比 / 地球化学図 / ^<14>C年代 / 河川堆積物 |
研究概要 |
化石骨中のストロンチウム同位体比を用いて遺跡に埋葬されている"人の生まれ育った地域(地質)を推定する"方法の確立を総合的に目指すために、今年度は主に以下の研究を推進した。 (1)古人骨のストロンチウム同位体比から、人の移住の情報を得るためには、まず、その古人骨の年代を高確度に求めておく必要がある。そこで、より高確度な骨の^<14>C年代を得るために、骨から外来有機物を効果的に除去する方法を検討した。具体的には、^<14>C国際標準比較の骨試料を用い、限外ろ過法により骨ゼラチンから高分子分画を抽出し、ゼラチン、高分子分画、低分子分画の^<14>C年代を比較した。その結果、高分子分画は、より高確度な^<14>C年代を得るのに有効であることが明らかになった。また、微量の炭素試料もおける^<14>C年代測定の実現のための基礎研究も行なった。 (2)昨年度、九州の大まかな地質のストロンチウム同位体比地球化学図を作成したが、本年度は、九州よりも地質が単純な四国に範囲を広げ、四国の河川堆積物約150試料を分析し、四国の地質のストロンチウム同位体比地球化学図を作成した。河川堆積物のストロンチウム同位体比は河川流域の地質環境の情報を非常によく反映していた。 (3)地質ストロンチウム同位体比が異なる何箇所の地域から、そこで生育した現生動物の骨を採取し、骨と周辺の河川の水、堆積物のストロンチウム同位体比を比較した。その結果、骨のストロンチウム同位体比は、周辺の河川水よりも河川堆積物の値に近いことを見いだした。 以上から、日本の地質ストロンチウム同位体比は、地域によって、人の移住の情報を得ることができるバリェーションを有していることがわかった。日本全国の地質ストロンチウム同位体比地球化学図を用いることにより、古人骨のストロンチウム同位体比から、その人がどの地域で生育したかを推定可能になることが示唆された。
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