研究課題
本研究は、マイクロフォーカスX線CT装置を用いて調査対象の高解像断層画像を撮影し、得られた画像をもとに非破壊で年輪年代測定をおこなうことで、美術史における木彫神像の研究に資することを目的とする。本年度から本格的に研究着手するのにさきがけ、平成18年度末に國學院大学神道資料館所蔵の木造僧形坐像(伝僧形八幡神像)に対して、同方法による非破壊年輪年代調査を実施した。この調査により、同像は1491年を上限とする15世紀末ないし16世紀初頭の造像である蓋然性の高いことが明らかになった。この年輪年代調査結果は、構造や様式などの美術史学的な視点から中世後期の作とする年代観とも整合する。研究成果については、第24回文化財科学会大会、ならびにThe First Asian Dendrochoronology Conference and Workshop にて学会発表するとともに、國學院大学神道資料館刊行の館報にて公刊した。これらの研究成果は、本研究で目指している非破壊年輪年代測定方法を今後、幅広く展開していくための嚆矢の事例として位置づけることができる。さらに本年度は、研究分担者の所属する奈良国立博物館所蔵の神像、近畿圏にある公立の博物館に寄託されている神像群などを奈良文化財研究所に輸送し、5躯の神像彫刻に対して同方法による非破壊年輪年代調査を実施した。また、輸送困難なものについては、現地で年輪の詳細なデジタル写真を撮影することにより、8躯の神像彫刻に対して像表面での年輪年代調査を実施した。個々の神像の名称や年輪年代情報などについては、学会発表もしくは論文をもって研究成果の発表としたい。
すべて 2008 2007
すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件) 図書 (1件)
東北芸術大学紀要 15
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埋文写真研究2007 Vol.18
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