研究概要 |
カルサイトに生成される原位置宇宙線生成放射性核種の^<36>Clを用い,石灰岩の長期にわたる削剥速度を見積もることを目的とした.日本各地の亜寒帯から温帯の7つのカルスト地域において,ピナクル頂部から5cm深部までの岩石試料を採取した.^<35>Clのキャリアを加えた加速器質量分析によりカルサイト中の^<36>Cl濃度を計測した.得られた核種濃度は10^5-10^6 atom g^<-1>であり,カルスト表面は10万年以上にわたり物理的・化学的プロセスをうけて削剥されてきたことを示した.削剥速度は20-60mm kyr^<-1>と見積もられ,中知日本で最小になった.この傾向は,削剥には化学的溶食と物理的風化(凍結破砕)の両方のプロセスが関与しており,各地域の平均気温,降水量,凍結-融解日数などの要因が重要であることを示唆している.
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