研究分担者 |
中村 俊夫 名古屋大学, 年代測定総合研究センター, 教授 (10135387)
長澤 良太 鳥取大学, 農学部, 教授 (40314570)
奥貫 圭一 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 准教授 (90272369)
堀 和明 名城大学, 理工学部, 准教授 (70373074)
小野 映介 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (90432228)
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研究概要 |
国内においては,濃尾平野北部において平野の表層を構成する河成層についてとくに海成のデルタ堆積物から河成層への変化に着目して検討した.その結果,平野北西部(墨俣や安八)でデルタ堆積物の上に,比較的厚い河成堆積物(河道・自然堤防・クレバススプレー・後背低地堆積物)を確認できた.また,その堆積開始時期は,4〜3 cal kyr BP以降であることを明らかにした. また,津軽平野,越後平野に関しても完新世後半における臨海沖積低地の詳細な地形変化とその要因を検討し,津軽平野北部では遺跡の埋没状況を明らかにするとともに,当地域に分布する自然堤防の発達過程について考察した.その結果,浅瀬石川沿いの自然堤防は平安時代に形成され,その後,大規模な下刻が生じたことが明らかになった.こうした地形発達は,河川上流から供給される土砂の急激な増加とその後の急速な減少によることが明らかになった.さらに,越後平野では中部の沖積層浅部に広く分布し,平安時代初頭の遺物を包含する黒色腐植土層の形成過程を検討した.その結果,同地域ではAD900頃に湿潤化が生じ,一時的な水域を伴うような環境のもとで黒色腐植土層が形成されたことが明らかとなった. 一方,タイ国のチャオプラヤ河中流域では,MODIS, Landsat ETMの画像解析をベースに微地形と雨季の洪水による堪水域及び農業的土地利用との関係を時空間的に解析しつつある.本年は洪水による湛水と水稲の作付けパターンとの関係を,MODISとLandsat ETM画像の双方を用いて時空間的に明らかにすることを試みた.また,タイ国中央平原およびソンクラー湖湖岸低地,メコンデルタでは地形発達に関わる地形・地質調査をすすめると共にマングローブ林の発達や硫酸塩酸性土壌の形成についても検討を行った. これらに加えて,沖積低地における地形環境変動に関わるイベントについて高精度の年代推定を行うための年代測定研究をおこない,堆積年代は,堆積物中に含まれる植物細片を可能な限り集めて年代測定を行うことが最善の方法であることが確認できた.
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