研究概要 |
本研究では沖積低地の地域的な場の条件,すなわち低地の土地条件が成立した背景を明らかにするとともに,将来起こりうる環境変動や,自然災害に対する潜在的なポテンシャルを沖積低地の地形環境ダイナミクスにもとづいて明確化・普遍化することを目的とする. そのために,微地形の時空間的変化を詳細に復元するとともに,調査対象地域における微地形の発達および微地形を取り巻く環境の変化をより高い精度で解明し,より高精度かつ空間的な視野に立って沖積低地の地形環境動態を明らかにする.また,得られたデータを地理情報システムの利用のもとに既往の水害や海面上昇に関するデータと重ね合わせて相互の関係を時空間的に解析し,自然システムの要素としての微地形の自然災害や人間活動に対する応答・役割を明確化する. また,より普遍的な成果を求めるため,我が国において進めた高精度な解明手法を途上国の沖積低地に適用し,水害・海水準変動に対する微地形形成環境ダイナミクスについての普遍性・一般法則を導き出し,沖積低地における洪水氾濫および海面上昇の影響に対する低地の地形環境動態についてのモデルを提示する.さらに,従来沖積低地の地形特性に関する情報が自然災害の軽減にほとんど生かされてこなかった途上国の沖積低地について,微地形の特質や低地の地形形成史および地形環境動態,自然災害ポテンシャルなどについて検討した成果を提供する.
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