研究課題/領域番号 |
19300308
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
地理学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
海津 正倫 名古屋大学, 文学部, 教授 (50127883)
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研究分担者 |
中村 俊夫 名古屋大学, 年代測定総合研究センター, 教授 (10135387)
長澤 良太 鳥取大学, 農学部, 教授 (40314570)
奥貫 圭一 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 准教授 (90272369)
堀 和明 名城大学, 理工学部, 准教授 (70373074)
小野 映介 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (90432228)
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研究期間 (年度) |
2007 – 2010
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キーワード | 沖積低地 / 微地形 / 地形環境 / 自然災害 / GIS |
研究概要 |
沖積低地の地形は後氷期の海水準変動や気候変動に応答して発達してきた。本研究では、沖積低地の地形環境のダイナミクスを明らかにするため、氾濫原における10^3年~10^2年オーダーあるいはそれよりも短い時間オーダーでの堆積速度や形成過程の解明を津軽平野,濃尾平野,越後平野などを対象地域としておこなった。その結果、津軽平野では十和田平安噴火が岩木川およびその支流の氾濫原における地形環境動態(堆積・下刻)に多大な影響を与えたことが明らかにされた。また、濃尾平野と天竜川では、氷河性海水準上昇がほぼ終了した後に、氾濫原堆積物の累重が生じており、越後平野においては、海水準上昇期に氾濫原堆積物が海水準上昇速度にほぼ匹敵する速さで堆積していること、さらに、濃尾平野では、後背低地堆積物の累重速度は自然堤防堆積物よりも1桁小さいこと、後背低地堆積物のなかに砂質の破堤堆積物が含まれる場合、堆積速度が大きくなりうること、旧河道の傍にみられる輪中の起源がアバルジョンおよびそれに伴う自然堤防の形成と関係している可能性が高いことなども明らかになった。 一方、タイ王国北部およびジャワ島の沖積低地の微地形と水害との関係に関する調査では、時系列で取得されたRADARSAT画像を用いて洪水による湛水域を抽出して、地形・洪水が水稲の作付けパターンへ与える影響の評価および水供給と水稲作付けパターンの季節変動を解析し、地形の高低差・湛水の有無(長短)・土地利用が互いに影響しあい、水稲作付けパターンに影響を与えている関係を明確に把握した。さらに、ベトナム中部Thu Bon川下流低地においてGISを用いてSRTMデータから土地分類を行い、水害との良好な関係を示すことが出来た。このほか、地形と画像データのGISを用いた統合的検討や、堆積物中から採取された木炭が、植物が光合成により大気中CO2を固定したときの年代を正しく示すことを明らかにするなど、GIS及び年代測定に関する基礎的な検討も行った。 以上の調査・研究の結果、沖積低地の形成過程に関わる時間的・空間的ダイナミクスが明らかにされ、低地における水害の地域的特性や硫酸塩酸性土壌の形成など低地における人々の生産活動や居住に関わるさまざまな問題との関わりが明らかにされた。また、それらはとくに東南アジアの地域において明らかにされたものであり、その成果は現地の地域計画や人々の生活などに多大な貢献が出来るものと期待できる。
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