研究概要 |
本研究は,中国半湿潤・半乾燥地域である華北平原西側に位置する黄河扇状地、太行山扇状地およびその両者からなる複合扇状地を対象として、人間活動影響の大きい扇状地における水循環・水質進化プロセスを明らかにするものである。特にCFC,環境同位体などを利用し、乾燥半乾燥気候条件下で人間活動による扇状地水循環構造改変メカニズムを解明することを目的とする。今年度は流域における水循環現状の把握および地下水のCFC、水素・酸素同位体測定を実施した。 ●地域の水循環現状調査太行山、黄河および灌概の影響を受けて、扇状地での地下水流動および水質進化が複雑な様子を呈した。地下水質は太行山扇状地ではCa-HCO3型で、黄河扇状地ではCa-HCO3型およびNa-HCO3型、複合扇状地ではNa-SO4型のように変化していく。一方、黄河を境にして南北二つの地下水流動系が形成されていた。3H及びCFC12の分析結果は、南部地下水流動系で地下水年齢が概ね23〜50年であり、特に河川沿いの浅層地下水が雨期に洪水に酒養されたことを示唆した。また、北部地下水流動系では、黄河水によって灌概された地域での地下水質組成はNa-SO4型からCa-Na-HCO3型大きく変わり、水質および180の結果から複合扇状地における地下水と地表水の交流関係を明らかにした。 ●地下水中のCFC分析手法の確立現地から採集した水サンプルを前年度で完成した前処理装置を用い手、水中のCFCおよびSF6を収集・精製してから,ECD検出器付きガスクロマトグラフにてCFCおよびSF6濃度分析を行った。CFCおよびSF5の分析データを基づき、扇状地における地下水年齢を算出し、概ねよい結果が得られた。
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