研究課題/領域番号 |
19310005
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
竹川 暢之 東京大学, 先端科学技術研究センター, 准教授 (00324369)
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研究分担者 |
近藤 豊 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (20110752)
小池 真 東京大学, 大学院・理学系研究科, 准教授 (00225343)
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キーワード | 環境計測 / エアロゾル / アジア / 質量分析計 / 吸湿特性 |
研究概要 |
(1)吸湿特性に応じた有機エアロゾルの新しい分類手法 静電分級法・ナフィオン管による加湿システムとエアロゾル質量分析計(AMS)を融合させて、エアロゾルを吸湿性で分離測定する装置を構築した。室内実験および外気観測の結果から、有機物由来のm/z44信号が、硫酸塩とともに親水モードの粒径に多く存在することが分かった。これらの知見に基づき、親水/疎水モード有機エアロゾル分類法を考案した。 (2)アジア大都市の有機エアロゾル濃度変動とその吸湿特性 2006年7-9月に中国の広州・北京で得たデータの解析を行った。広州・北京いずれにおいても、光化学プロセスの進行に伴って硫酸塩と含酸素有機エアロゾル(00A)が非常に高濃度になることが分かった。また、同時に行われた吸湿タンデム静電分級器による測定結果との比較から、光化学プロセスを受けたエアロゾルが高い吸湿性を示すことが明らかになった。 (3)3次元モデルを用いたアジア大都市の有機エアロゾル生成・消滅メカニズム 3次元化学輸送モデル(CMAQ-MADRID2)、排出インベントリ、気象データを用いて東京における有機エアロゾル濃度の再現を行った。モデルで計算される二次有機エアロゾルは観測された含酸素有機エアロゾル(00A)と良い相関を示したが、モデルは観測値を大幅に過小評価した。この要因として、高分子量の揮発性有機化合物の寄与が大きい可能性を提唱した。また、同様のモデルを用いて北京における有機エアロゾル濃度の再現を行った。ここでも東京と同様の過小評価が見られたが、北京では排出インベントリの不確定性が大きな要因であることが示唆された。
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