研究概要 |
富士山の永久凍土の分布を測定するために平成19年度は,南側面に重点を置き,垂直分布を2,500mから3,776mまで,標高50m〜100m間隔で永久凍土の位置測定を行った。ボタン式温度データロガーを用い,1年間の連続気温、地温の測定を行った。また,ボタン式地中温度計を標高100m間隔で地中に設置した。 永久凍土の位置を推定するための地温測定は,研究分担者とともに地表から1点につき30cm、50cm、70cmの深さで行い,8月中旬から9月中旬に垂直分布調査を集中的に行った。同時に山頂までの植物の分布調査を行った。山頂では1996年から1998年にかけて測定した地温の資料を基に約10年間の変化を測定した。調査地点は剣ケ峰,白山岳周辺を中心に調査を行った。同時に1998年に設置した蘇類の永久方形区において密度、被度調査を行い,10年間の比較検討を行った。調査区は剣ケ峰西区,剣ケ峰東区,剣ケ峰北区,雷岩区,白山北区,白山北東区の6区である。各区においてギンゴケ,ハリガメゴケ,タカネスギゴケのいずれかが優占していた。この分布状態は1998年と大きく変化したものではなかった。しかし,コドラーと周辺においてはシモフリゴケの増加,ヤノウエノアカゴケの減少が見られた。さらに,高等植物としてコタヌキランの個体数が増加していた。 19年度の春から秋にかけて日本の他の高山,南米アンデスで永久凍土の植物の分布の調査を行い,比較のための資料を集積した。
|