研究課題
本研究は、大気中の未計測ガス種のOHラジカルなど、1.8-2.0THz帯に放射スペクトルをもつ原子・分子のリモートセンシングを見据え、THz波ヘテロダイン超伝導ホットエレクトロンボロメータミクサー素子(HEBM)を実用化し、THz帯の高周波分解能・高感度リモート計測システムを開発することを目指している。H.19年度はHEBMを搭載できる冷却受信機システムの設計・製作、HEBM素子の周波数応答評価システム(FTS)の構築、HEBM素子の改良を行った。具体的に以下に示す。1)シールド・グランドレベル・耐真空に配慮したクライオスタット・システム、HEBMを4Kに冷却し、かつビームをHEBMに伝送するための冷却光学系の設計・製作(Al製)を行った。またHEBMにバイアスを印加するためのフィードバック回路を改良し、安定なバイアス源を設計・製作した。さらに、HEBMからの差周波のビート出力を増幅処理する中間周波系の設計・製作を行った。2)局部発振波(LO)と信号(RF)を結合させるためのTHz帯ワイヤーグリッドの製作を行った。3)従来の潮解性のあるMgOレンズ/基板を用いたプロセスから、Siレンズ/基板を用いたプロセスに改良を行った。ICPによるエッチングプロセスを導入することで、HEBM素子の高周波化と耐久性、歩留まりの向上に成功した。4)HEBM素子のツインスロットアンテナ部の周波数特性(200GHz、600GHz,1.5THz、1.9THz)を測定するため、国立天文台のフーリエ分光装置のバイアス回路(DC出力で応答成分を取り出す必要があるため、フィードバック回路の無い構成にする必要有り)・He冷却デュワーの改良、システムの安定化とノイズの軽減を行った。これによりHEBMを損傷させることなくFTSシステムに搭載し、周波数特性の測定を行える環境を整備した。
すべて 2008 2007
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (10件)
Advanced. Space Research (掲載確定)
Proceedings of the International Conference on Submillimeter Science and Technology
ページ: 20-23