研究課題
本研究は、大気中の未計測ガス種のOHラジカルなど、1.8-2.0THz帯に放射スペクトルをもつ原子・分子の観測を見据え、THz波ヘテロダイン超伝導HEBM検出素子を実用化を目指している。H20年度は、1)HEBM素子の高感度化・広帯域化・プロセの改良、2)HBEM素子の性能評価をするための低振動の冷却受信機評価システムの開発、3)地球大気環境計測のためのHEBM素子を搭載する測器のリサーチやHEBM素子を用いた波及効果・応用について調査、を進めた。具体的な内容を以下に示す。1)HEBM素子のNbTiN細線とSi基板の間にマッチング層(窒化アルミ)を導入し、NbTiN細線の臨界温度を向上させることに成功した。これに伴い、4.2K近傍でHEBM素子が最適動作するように、NbTiN細線構造の最適化について検討を始めた。2)低振動のパルス管(PT)冷凍機を導入した。PT冷凍機は冷却ヘッドが±150mKで周期的に温度変動する問題がかねてより指摘されてきた。そこで、異なる低温物性をもつ金属緩衝材を複数組み合わせて挿入することで、到達温度を損なうことなく、温度変動を2mK以下に抑えることに成功した。これによりHEBM素子の安定冷却の目処がたった。この成果をもとに、PT冷凍機をベースとしたHEBM素子の性能評価のための冷却受信機システムを設計・開発した。3)HEBM素子を、B-SMILES気球(NICT/入交)や名古屋大学南半球宇宙観測研究センターのNANTEN2望遠鏡(チリ・アタカマ高地:高度4860m)、筑波大学・極地研が計画中のTHz望遠鏡(南極ドームふじ)などに搭載し、将来、OH等の地球大気観測を行う計画について検討を始めた。また、これらを用いたTHz帯でのシナジー効果を見据え、惑星大気環境計測や電波天文学観測応用・波及効果などについても検討を行った。
すべて 2009 2008
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (18件)
Advances in Space Research Vol.42, Issue 7
ページ: 1167-1171
Proceedings of 19th International Symposium on Space Terahertz Technology 19^<th> Part2
ページ: 409-412
Proceedings of 19th International Symposium on Space Terahertz Technology 19^<th> Part 2
ページ: 59-61