研究課題
本研究は、大気中の未計測ガス種のOHラジカルなど、1.8-2.0THz帯に放射スペクトルをもつ原子・分子のリモートセンシングのための、THz波ヘテロダイン超伝導HEBM検出素子の実用化開発を推進している。H21年度は、開発した冷却受信機評価システムを東京大学に持ち込み、改良したNbTiN細線HEBM素子の1.5THz帯での性能評価を行った。以下にその成果を示す。1)1.5THz帯において未校正の受信機雑音温度3400Kを実現した。レンズに無反射コーティングを施し、かつ1.5THz帯局部発振器の出力が改善されて信号/局部発振器の結合効率が改善されるだけで、受信機雑音温度は1600Kに改善されると見込まれる。これは従来のショットーキー型のミクサー素子と比べても感度が1桁高い。このことは、スペクトルの積分に丸一日かかっていたものが、15分で取得できるようになり、大気微量分子の昼夜/時間の変動のモニタリングが可能になることを意味している。2)バイアス回路や、冷凍機の振動・温度安定化、THzバンドパスフィルター、NbTiN細線などの改良・開発により、HEBM素子の感度が最適な動作ポイントで、10秒の動作安定時間(アラン分散)を実現した。これにより、THz帯での大気微量分子の実用的な観測シーケンスを組む見通しがたった。これまでの国内外のHEBM素子は、感度の最適ポイントでは、動作安定時間が1秒程度しか得られず、このことが実用化のネックとなっていた。この成果により、博士課程の山倉鉄矢氏が博士論文を取得するとともに、国際シンポジウム(21^<st>ISSTT)にて前澤が成果報告を行った。今後は、1.9THz帯の発振器を導入し、細線構造をさらに最適化することで、OHラジカルなど、THz帯のスペクトル線の計測を現実のものとしていく。
すべて 2010 2009 その他
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (22件) 図書 (1件)
Superconductor Science and Technology Volume 23 Issue 4
ページ: 045025
ページ: 045004
the Graduate School of Pure and Applied Sciences the Degree of Doctor of Philosophy in Science at the University of Tsukuba
ページ: 1-115
The Astrophysical Journal Volume 709 Issue 2
ページ: 975-982
Proceedings of 21^<st> International Symposium on Space Terahertz Technology 21st(印刷中)
IEEE Transactions on Applied Superconductivity vol. 19 issue 3
ページ: 301-304
20^<th> International Symposium on Space Terahertz Technology 20^<th>
ページ: 156-160
Planetary and Space Science Volume 57
ページ: 2123-2127