研究課題
1)研究分担者、研究協力者が全員参加のもと、平成21年1月5〜7日に九州大学において以下の成果についての報告および今後の展開について研究会を開催した。なお、2件の修士論文および2件の卒業論文となった。2)顕微蛍光法による年縞計測について現有設備の改良を行い、年縞の計数による絶対年代測定の信頼性と簡便性をさらに向上させることができた。3)α線、γ線スペクトロメトリーを用いた同位体希釈法による鍾乳石の絶対年代測定法の開発を継続した。次年度上旬には方法論を完成させ、実試料の年代測定を行う予定である。4)秋吉台の4地点から採取した石筍試料を用いて、炭素同位体比から植生の変遷を読み取った。植生変遷に伴い、微量成分含量も変化することを明らかにした。また、奈良時代から稼動した秋吉台長登銅鉱山の盛衰を当時の局地的酸性雨および植生変遷から追跡するための採取許可を文化庁からえることができ石筍試料を採取した。1400年代以降の酸性降下物量のおよび植生の変遷を明らかにすることができた。5)前年度、沖縄県西表島において、東アジアからの長距離移流に伴う大気汚染の変遷を、石筍の炭酸塩フラクション中の硫酸イオン濃度から明らかにした。さらに、クロスチェックのために、50年の年輪を持つリュウキュウマツについて有機態硫黄の安定同位体比の経年変動を追跡することで、1980年代から酸性降下物量の増加が顕在化するというほぼ同じ結論を得ることができた。6)昨年度に引き続き、秋吉台の鍾乳石以外に気温の異なる日本国内の鍾乳洞において、滴下水およびその滴下水から生成する鍾乳石を採取し、酸素同位体比測地質温度計用データの蓄積を行った。また、鹿児島県沖永良部島の二つの洞窟から採取した石筍を用いて、同位体比データの比較を行った。
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化学 63
ページ: 66-67
ぶんせき
ページ: 609-610
Polyhedron 27
ページ: 2785-2790