研究課題
基盤研究(B)
大気中のメタン(CH_4)濃度は、産業革命以降の人間活動の活発化によって急激に増加してきたことが氷床コア中の気泡分析で明らかにされており、二酸化炭素(CO_2)に次いで重要な温室効果気体としてその動態が注目されている。しかしながら、CH_4の放出源が水田を含む湿地域での有機物の嫌気性分解や反芻動物の腸内発酵から、石炭・天然ガスの採掘、そして森林・泥炭火災にまで非常に広範囲に及ぶことから、観測された大気中CH_4の濃度変動のみからその変動原因を解釈することは非常に困難であった。CH_4を構成する炭素と水素の安定同位体比(δ^<13>C、δD)は、CH_4放出源によって値が大きく異なっているため、大気中のCH_4濃度とδ^<13>C、δDの同時高精度観測を行うことによって、CH_4濃度の変動にどの放出源が寄与したかに関する情報が得られる。しかし、CH_4の安定同位体比の分析には高度な技術が必要であるため、これまで系統的な時系列観測を維持している研究機関は極めて限られていた。本研究では、これまでデータの空白域であったカナダ亜北極域におけるCH_4変動を明らかにするため、カナダ環境省研究所と共同で、カナダ亜北極域のマニトバ州・チャーチル(北緯59度、西経94度)における系統的な大気採取とCH_4濃度およびδ^<13>C、δDの同時高精度観測を行う。そして、得られた観測データを解析し、観測されるCH_4濃度の変動について、各CH_4放出源の寄与とその変動を明らかにすることを目的とする。
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南極資料 (印刷中)
Antarctic Record 53
ページ: 1-8
J.Meteorol.Soc.Japan 87
ページ: 365-379
J.Geophys.Res. 114