現在、温暖化や大気汚染をはじめとする地球環境変動が大きな問題となっており、科学的観点からその変動メカニズムを解明し影響を予測することが求められている。そこでは、陸域が放出または吸収する微量物質が、気候変動や大気化学的なプロセスに多様かつ重要な影響を与えることが明らかにされつつある。現在の陸域生態系の生物地球化学的プロセスを扱うモデルに対し、不確定性を低減するとともに重要なメカニズムを包括して、より現実的な地球環境変動との相互作用の解析を行うことを本課題の目的とする。大気-陸域間の微量ガス交換(温室効果ガス、スス・有機エアロゾル、生物起源揮発性有機物質(BVOC)など)を統合的に扱うモデル(VISIT : Vegetation Integrative Simulator for Trace gases)を開発する。このモデルは、陸域炭素循環モデルSim-CYCLEをベースに、窒素循環、メタン交換、バイオマス燃焼、揮発性有機物質などの交換スキームを組み込んだものとなる。
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