研究課題/領域番号 |
19310023
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
金子 慎治 広島大学, 大学院・国際協力研究科, 教授 (00346529)
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研究分担者 |
市橋 勝 広島大学, 大学院・国際協力研究科, 准教授 (10223108)
今井 剛 山口大学, 理工学研究科, 教授 (20263791)
白川 博章 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (50393038)
田中 勝也 滋賀大学, 環境総合研究センター, 准教授 (20397938)
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キーワード | 都市発展 / 北京市 / 産業連関分析 / 誘発環境負荷 / 環境資源勘定 / 仮想水 |
研究概要 |
本研究は、水資源制約の強い地域において北京市(途上国のメガシティ)がいかに経済的に拡大を続けることが可能であったかのメカニズム解明とそれによる社会的便益の評価を目的とし、水資源勘定表を作成したうえで、おもに地域産業連関分析による仮想水(バーチャルウォーター)の推計を中心とした研究としてまとめた。研究プロジェクトでは1987年から2005年まで5時点の北京市産業連関表と関連する水資源統計データを整備し、水資源勘定表としてまとめた。また比較対象のため全国データについても同様に収集・整備した。また、水資源勘定表に必要な情報で統計からは得られない情報を補完するために、北京市民に対するアンケート調査を実施し、水価値の推計を行った。1997年から2005年までに北京市が構造を全く変化させずに経済規模のみ拡大した場合を想定した潜在水需要と実際とを比較し、北京市内の水需要が大きく増加しなかった要因の特定を行った。そして、この変化にともなって北京市における社会的便益が純増することを示した。さらに、家計の消費支出の拡大とその品目構成の変化に着目し、1997年から2005年までに家計が誘発する水需要の変化を推計し、要因分解を行った結果、より大きな仮想水の需要をもたらす構造変化が起きていることを同定した。仮想水にともなって域外で誘発されうる水質汚染負荷量を推計し、そのための処理費用と北京市内で生産した場合に誘発される水質汚染処理費用を比較した。今後しばらく研究プロジェクト終了後も引き続き、主な成果をまとめてWater International誌の特集号として掲載すべく活動を続ける予定である。
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