研究課題/領域番号 |
19310024
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
竹内 一郎 愛媛大学, 農学部, 教授 (30212020)
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研究分担者 |
河野 公栄 愛媛大学, 農学部, 准教授 (50116927)
高田 秀重 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究院, 教授 (70187970)
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キーワード | 沿岸域生態系 / PCBs / PBDEs / 炭素安定同位体 / 窒素安定同位体 / 生物濃縮過程 / 食物連鎖 |
研究概要 |
東京湾の湾奥部に位置する京浜運河から採集した二枚貝、カニ類、魚類等の各種の生物をガスクロマトグラフ電子捕獲型検出器およびガスクロマトグラフ-質量分析計や同位体比質量分析計(ANCA-SL)等によりPBDEs(臭素化ジフェニルエーテル)、PCBs(ポリ塩化ビフェニール)及び炭素・窒素安定同位体比を分析し、BDE3〜209の13種のPBDEs異性体と5種のPCBs異性体の生物濃縮特性を解析した。 PBDEs及びPCBsの各異性体毎の湿重量、乾重量及び脂肪重量あたりの濃度を対数変換し、窒素安定同位体比(δ^<15>N)との間の一次相関式を求めたところ、大部分のPBDEs異性体は正の相関が得られた。この相開式の「傾き」は食物連鎖の上昇に伴う生物濃縮の指標として用いられている。 PBDEsの各異性体の「傾き」はオクタノール・水分配係数が増加するにつれ、PCBsよりも低いものの、増加することが明らかになった。PBDEsはPCBsよりも代謝されやすいために生物濃縮は低くなる可能性が推察された。 また、伊勢湾の湾奥部より採集した植物プランクトンや魚類等の各種の生物を基に高分解能ガスクロマトグラフ質量分析計等を用いPCBsの各異性体レベルでの予備的な分析を実施し、上記の研究と同様の解析方法により塩素数が5及び6の59種のPCBs異性体の生物濃縮特性を解析した。その結果、PCBsも大部分の異性体の相関式の「傾き」は正であり生物濃縮が起こっていることが明らかになった。塩素数が5のP_5CBs及び6のH_6CBs内でコプラナーPCBsと非コプラナ-PCBsとの間では「傾き」の有意な差は認められなかった。 以上のように、本年度の研究により窒素安定同位体比を用いたPCBs及びPBDEsの異性体レベルでの生物濃縮特性を解析する研究手法の基礎を確立することができた。
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