社会として化学物質総合管理能力を強化する方策に関する研究を行った。 1.化学物質総合管理に係る法制の国際比較と日本の法律体系に関する調査研究 2009年5月に化学物質審査規正法(化審法)が改正されたが、改正に係る問題点と国会附帯決議への対応の重点について考察を行った。国会附帯決議の遂行のためには化学物質総合管理の国際的潮流を受け入れ、SAICM等の国際合意を確実に履行することが肝要であることを論文にまとめて公表した。また、海外の化学物質の管理の実情や環境対策への取組み状況を把握するために中東諸国の現地調査も行った。 2.評価指標体系の集大成 これまでに開発を進めてきた企業、教育研究機関(大学)、試験・評価専門機関、政府機関の活動を各々評価する評価指標について、整合性の見直しを行って総括的に集大成した。項目の一部追加や評価項目の配列変更などを行って集大成して、各セクターを相互に比較できる総合的な評価指標を完成させた。 3.企業活動評価の実施とセクター間比較 2003年以降続けている企業活動の評価を継続して行った。2009年度調査における全業種121社の総合到達度の平均は56で、昨年度よりも一見向上しているように見えるが母集団の違いによる差が大きく、同一企業だけで比較すると変化は殆どないことが判明した。昨年度末までに実施した大学、試験・評価専門機関および政府機関について企業と同じ基準で集計してセクター間比較を行った。企業に比べて他の機関は総合管理の視点から課題が多くあることが明らかとなった。
|