研究概要 |
当課題の2年目として、以下の調査を行い、課題研究を進展させた。 1)初年度に高知大学で行った「黒潮沿岸の藻場生態系を中心とした近年の変化」と題した第1回日台比3ケ国合同ワークショップの全容を、『黒潮圏科学(英文誌)』第2巻第1号に取りまとめ公刊した。 2)高知では、横浪半島と竜串海岸を中心に潜水調査を行い、藻場の季節消長と培養実験により、近年の海水温の上昇に伴う温帯性と亜熱帯性種の遷移の態様を明らかにした。 3)台湾東北部石城にて海藻を採集し、黒潮流域沿岸における海藻植生の種構成や群落構造の特徴を現地調査と文献調査により明らかにし、培養株を作出した15種を含め,30種(緑藻9種,褐藻5種,紅藻16種)の標本を作成した。 4)黒潮沿崖各国の海洋政策と沿岸海域の藻場の保全・保護に関する施策情報を引き続いて収集するとともに、フィリピンの南部及び北部両ルソンに設定した定点観測調査地(カガヤン州クラベリア町近郊及びアルバイ州タバコ町のラゴノイ湾)で、前者は農業省漁業・水産資源局支所と、後者はピコール大学と連携した海中林生態および海洋保護区に関する共同調査を行った。 5)カナダのブリティッシュコロンビア大学を訪問し、北米西海岸のマクロキスチスからなる大規模海中林の研究現況についての情報の収集および意見交換により、黒潮沿岸の海中林生態との比較考察を行った。 6)日台比の学術情報ネットワークを駆使し、2008年12月1〜3日に台湾の国立中山大学の主催による第2回合同ワークショップが開催され、高雄市の同大学キャンパスでこれまでの研究成果を発表した。統一テーマは、「黒潮海域における生物多様性」で、沿岸資源の管理(4報告)、魚類資源(6報告)、生物多様性(6報告)、生物海洋(4報告)のセッション別に、全部で20の研究成果の紹介がなされた。
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