研究概要 |
当課題の3年目(最終年度)として以下の調査を行い、課題研究の展開と総括を行った。 1) 昨年度に台湾国立中山大学で行った「黒潮海域研究の課題と展望」と題した第2回日台比3ケ国合同シンポジウムの全容を、『黒潮圏科学(英文誌)』第3巻第1号に取りまとめ、公刊した。 2) 海中林生態に関する中山大学との共同研究の取り纏めの打合せを行い、併せて台湾中央科学院で藻場の変遷と保全に関するセミナーを行った。 3) 台湾国立膨湖大学と共同して海藻を採集し、台湾西部の黒潮分流沿岸の海藻植生の特徴や海藻養殖の実態を現地調査によって明らかにし、5種の培養株の確立を含め,約20種の標本を作成した。 4) 黒潮沿岸各国の海洋政策と沿岸海域の藻場の保全・保護に関する施策情報を集約するとともに、フィリピンではとくに海洋保護区の設定と維持に対する沿岸住民の評価・意識調査と分析を行った。フィリピン・ルソン島の南部(アルバイ州タバコ市のラゴノイ湾)及び北部(カガヤン州クラベリア町近郊)に設定した定点観測調査地で、前者はビコール大学と、後者は農業省漁業・水産資源局支所と連携した海中林生態及び海洋保護区に関する共同調査を行った。 5) 本邦では琉球大学を訪問して藻場と海中林の研究現況について意見交換し、沖縄本島および石垣島で潜水調査と海藻採集を実施し、2年前に調査した藻場の状況と比較・考察した。 6) 日台比の学術情報ネットワークを駆使し、2009年12月2~5日にフィリピン・ビコール大学の主催による第3回合同ワークショップが開催され、アルバイ州レガスピ市でこれまでの研究成果を発表した。「黒潮流域の恵みとバランスを研究する:海の生物多様性と資源管理」の統一テーマで、沿岸資源の管理(9報告)、魚類資源(8報告)、生物科学・海洋学(4報告)、資源と生物環境(5報告)のセッション別に、計26の研究成果の紹介と討論がなされた。
|