研究概要 |
コラーゲンタイプI処理膜フィルターを用いてTTE3 Sertoli細胞とTTE1 Leydig細胞を共培養した時,お互いの相互作用により数多くの遺伝子の発現が変動することを明らかにした.特に,Sertoli細胞の細胞分化の指標であるtransferrinがLeydig細胞との共培養により発現が上昇することを確認した.これらの結果から,細胞間相互作用を有する精巣細胞システムが構築できたと考えられる.さらに,本システムが血液―精巣関門のモデルとなり得るか否かを調べた.本条件下,細胞間の有意な膜電気抵抗が形成されなかったので,TTE3細胞間には完全な密着結合が形成されていないことが示された.これは,網羅的な遺伝子発現解析により,密着結合の構成タンパク質である,occludinやclaudin 11が発現していないことからも示された.一方,密着結合の構成タンパク質であるZo-1は発現していた.現在,密着結合が形成され,血液―精巣関門を完全なものにするために,細胞外マトリックスの効果を検討している.内分泌かく乱物質bisphenol AによりSertoli細胞に小胞体ストレスが誘導される.Sertoli細胞において,小胞体ストレスを伴う細胞障害に抗酸化タンパク質DJ-1がどのように機能しているのか調べた.Thapsigarginによる小胞体ストレスを伴う細胞障害に対してDJ-1は細胞保護的に機能していることが明らかとなった.その他,温度感受性simian virus 40大型T抗原遺伝子導入トランスジェニックラットから新規に種々の機能を有した口腔や皮膚の細胞モデルの構築を行った.
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