研究課題/領域番号 |
19310041
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
今岡 進 関西学院大学, 理工学部, 教授 (60145795)
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研究分担者 |
木下 勉 関西学院大学, 理工学部, 教授 (30161532)
岡田 和嗣 関西学院大学, 理工学研究科, 博士研究員 (40423892)
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キーワード | ビスフェノールA / 内分泌かく乱化学物質 / プロティンジスルヒドイソメラーゼ / アフリカツメガエル胚 / Notch signal |
研究概要 |
ビスフェノールA(BpA)やノニルフェノールなどは、プラスチック製品の添加剤や化学物質合成の原料として使用され、河川の水やプラスチック製品を容器とする食物の中に検出されている。これらの物質は内分泌かく乱化学物質として見いだされ、エストロゲン様の作用があることが報告されたが、後にこれらの化合物のエストロゲン受容体への結合は内在性のエストロゲンに比べて極めて弱いことが明らかにされた。ところが、最近これらの化合物がヒトや実験動物において、中枢神経系の発達に影響を及ぼしている可能性が示唆された。申請者らはラット脳から、BpA結合タンパク質として、プロティンジスルビドイソメラーゼ(PDI)を精製した。本年度はPDIとBpAとの結合と機能、一方でアフリカツメガエルを用いて、BpAによる頭部の形成異常について検討した。まず、PDIとBpA誘導体との結合を検討した結果、BpAのフェノール部位が結合に必須であることが明らかになった。またBpAはPDIのイソメラーゼ活性を阻害することを明らかにしているが、このフェノール部位のPDIとの結合が、BpAの活性阻害に必要であることを明らかにした。一方、カエルの胚を用いた検討では、まず異常な表現系を引き起こすBpAの濃度を決定した。10nM〜20μMまで検討した結果から60nMが異常を引き起こす最低濃度であることを見いだした。表現系としては、体節の湾曲、色素の非形成、目の非形成などが見られた。この異常が、どのように引き起こされるのかメカニズムを明らかにするため様々な遺伝子発現について検討した結果、Notch signal系がBpAによって阻害されている可能性を見いだした。実際にBpA投与した胚にNotch signal系の因子を過剰発現するとこの異常は解消された。
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