研究概要 |
1ヒト母乳中の天然ハロゲン化合物の検索を行い,抗菌活性物質として知られるOH-PBDEおよび2,2'-diOH-3,3',5,5'-tetrabromobiphneyl(diOH-BB80)のメチル化体(合計4種),ハロゲン化メチルピロール誘導体2種を検出した。その濃度は,人為起源のPBDEと同レベルであった。そこでdiOH-BB80を大量合成し,その抗菌活性試験のための標準溶液を作成した。 2抗菌性天然ハロゲン化合物についてHPLC/MS/MS(APCIおよびESI)による分析法を開発した。APCI法を用いた定量法はEI/GC/MS法に比べ,OH-PBDEおよびMeO-PBDEの同時測定が可能で,GC/MS法による測定誤差を軽減でき,感度も良好で環境分析に十分利用できることがわかった。パラオ産海綿数種のメタノール抽出液のから十数種の脂溶性ハロゲン成分を検出し,すくなくとも2種は抗菌性oH-PBDEであることがわかった。また,抗MRSA活性物質としてdioH-BB80も海綿から検出された。さらに,3〜6臭素化ジフェニルエーテルのdiOH体,MeO(OH)体およびdiMeO体がそれぞれ数種検出された。その抗菌活性を測定するとともに,HPLC分画の抗菌フラクションについて構造を解析した。 3パラオ産海綿動物を解凍後,コロニーを生育させ,アンピシリン耐性培地で培養し,得られたコロニーを分離,純培養を行った。クロロホルム、メタノールで抽出した成分のHPLC分析,GC/MSおよびLC/MS/MS分析を行い,構造の一部を検索した。構造解析をもとに化学合成を次年度に行う予定である。
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