研究概要 |
(1)海綿で生産される十数種のフェノール性臭素化合物を一斉に明らかにするために、APCI-LC/MS/MS分析法を開発した。APCI(-)によるイオン化の最適条件を設定し、MRMによる4-6臭素化ジフェニルエーテルのdihydoxy体、hydroxy-methoxy体、dimethoxy体の同時分析法が可能となった。この方法を数種の海綿に応用し、その組成と濃度を明らかにした。 (2)パラオ産海綿(Callyspongia sp.)からプロモフェノールの他に、カテコール、グアヤコールおよびベラトロールの臭素化体を検出し、臭素化カテコールにtroclosanと類似の抗菌活性が認められた。Callyspongeae spから四臭素化のhydroxy-dibenzo-p-dioxinが検出された。一方、フィリピン産の紅藻(Halimenia durvilaei)から、臭素化ヒドロキノンおよびmethoxy体が検出された。臭素化ヒドロキノンは臭素カテコールよりも弱い抗菌作用を示した。一方、そのmethoxy体では抗菌活性はみられなかった。 (3)パラオ産海藻(Lamellodysidea sp)からフェノール性臭素化合物を単離し、2,2'-dihydroxy-3,3',5,5'-tetrabromobiphenylおよび2'-hydroxy-6-methoxy-2,3',4,5'-tetrabromodiphenyl etherを同定した。その合成品を用いて、9種の細菌の増殖抑制効果を調べた結果、フェノール性臭素化合物はいずれもE.Faecalis,E.faecius,S.aureus,MRSA,およびS.pyogenesに対しtroclosanと類似の増殖阻害作用を示した。一方、それらのO-methoxy誘導体は、いずれの細菌にも増殖抑制効果を示さなかった。これらの臭素化フェノール骨格が抗菌薬のリード化合物になる可能性が示唆された。
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