1)燃焼灰と有機堆肥の同時施肥による植物生長試験:短期栽培可能な二十日大根を取り上げ、バイオブリケット(BB)燃焼灰と有機堆肥の同時施肥により植物生長が加速されることを確認した。また、有機堆肥の共存により、植物中の可食部への重金属の取り込みが抑制されることがわかり、燃焼灰と有機堆肥の同時施肥の有効性を明らかにした。 2)同時施肥効果の評価:BB燃焼灰と有機堆肥の条件に加えて、BB燃焼灰と化成肥料の組み合わせで二十日大根の生長実験を行い、前者の方が後者より、茎部位(茎+胚軸)の生育が優れていること確認した。この結果は、本研究で意図しているBB技術の農村部における普及が極めて効果的に行えることを示唆している。 3)BB技術の普及可能性調査:中国とベェトナムの情報から、低品位石炭や粘土混合ブリケットを利用している中国農村部では、BB燃料の利用可能性は極めて高い。さらに、同地域の農家で一般的に家畜を肥育しており、BB燃焼灰と家畜堆肥の同時施用のための客観的条件も整っているため、同地域でのBB燃料の利用とBB燃焼灰と家畜堆肥の同時施用の組み合わせによる開発技術の普及は高い実現可能性を持っている。 4)BDFによる温暖化ガスの排出抑制効果の評価:植物油からのバイオディーゼル燃料(BDF)の調製ならびに植物油の搾りかすからのBBの製造・利用による温暖化ガス排出抑制効果を調べ、環境負荷低減型ゼロエミッションサイクル構築の可能性を考察した。しかし、結論を得るには至らず、その評価には更なる調査課題が残された。 5)本年度の研究結果の整理・次年度以降の計画:これまで行って来た研究結果を整理するとともに、残された課題等は平成22年度開始の海外学術調査「バイオブリケットを核とする地域完結循環型環境保全対策の発展途上国への適用・普及」のなかで継続し、より発展途上国への適用・普及という点に焦点を絞って、調査研究を実施する。
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