この研究では、飛散性アスベストを含む排ガスを、迅速で安全にそして確実に無害化するため、排ガスを大気圧下でマイクロ波放電によりプラズマ化し、その高温・高反応活性を利用して、アスベストを溶融・熱分解・ガラス化することで形状変化および構造変化を起こさせ、無害化する技術を開発するものである。今年度は、大気圧マイクロ波空気プラズマの特性と固体粒子への熱収支挙動の解析と、アスベスト疑似固体で主な組成がアルミナとシリカであるセラミックウールを用いた処理実験を行った。後者では、投入電力、キャリアガス流量、空気流量、サンプル質量流量などを変化させて実験を行った。解析法は、回収したセラミックス繊維をSEMで100〜200個程度撮影し、画像解析ソフトを用いて各粒子の投影面積、投影周長を測定した後、粒子形状指標である投影面積円相当形と円形度を計算する。そして処理効率を表すものとして、ある円形度以上の粒子の投影面積の総和を求め、処理前の値との比を球状化率と定義し、各実験操作条件に対する球状化率の変化を調べた。その結果、融点の低いセラミックウールでは投入エネルギーの増加と共に球状化率が上昇したが、融点の高いセラミックウールは大きな変化が見られなかった。また、ガスの流量が増加すると球状化率が低下した。プラズマの温度を仮定し、セラミックウールが融点まで達し、その後全て融解するまでの伝熱現象を簡単にモデル化し得られた伝熱パラメータと実験で得られた球状化率との相関を取ったところ、一つの傾向にまとまることが示唆され、その傾向から本方法によりアスベストは十分に処理できると推測された。
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