この研究では、飛散性アスベストを含む排ガスを、迅速で安全にそして確実に無害化するため、排ガスを大気圧下でマイクロ波放電によりプラズマ化し、その高温・高反応活性を利用して、アスベストを溶融・熱分解・ガラス化することで形状変化および構造変化を起こさせ、無害化する技術を開発するものである。今年度は、純アスベストとアスベスト含有廃棄物を実際に大気圧マイクロ波空気プラズマに導入し、その処理の状態を調べた。用いたアスベストはクリソタイル、アモサイト、クロシドライドである。分析は、粒子形態を電子顕微鏡で、含有の有無を位相差顕微鏡とX線回折で行った。その結果、どの純アスベストも形状が変化し、球状等に溶融固化することがわかった。また、位相差顕微鏡やX線回折結果から、アスベストの含有が大幅に減少し、また後者からは新たなピークも観測され、アスベストが構造変化を起こしていることが明らかとなった。また、含有物でも球状等の溶融固化が確認され、位相差顕微鏡写真からはアスベストは検出されなかった。さらに、含有物の平均アスペクト比を処理前後で比較し、その結果、危険とされるアスペクト比3以上のものが大幅に減少することも明らかとなった。なお、実験では処理する粒子の定量導入が課題となることも示された。一方、プラズマの数値解析も開始し、旋回流が円管中心部の圧力を減少させ、そのためプラズマが安定化することが示唆された。得られた結果から本方法により飛散性アスベストは処理が可能であると推測された。
|