この研究は、飛散性アスベストを含む排ガスを、迅速で安全にそして確実に無害化するため、排ガスを大気圧下でマイクロ波放電によりプラズマ化し、その高温・高反応活性を利用して、アスベストを溶融・熱分解・ガラス化することで形状変化および構造変化を起こさせ、無害化する技術を開発するものである。これまでの2年間に得られた結果から、この方法により飛散性アスベストは処理が可能であると推測されており、最終年度にあたる21年度は、アスベスト疑似固体であるセラミック繊維やステンレス繊維を、これまで行ってきたアスベスト等の処理と同一の条件で実験を行い、その形状変化や組成変化を調べると共に、これまで得られている各種純アスベストやアスベスト混合物の処理結果と共に総括した。実験の結果、セラミック繊維やステンレス繊維はその融点や初期形状により溶融状態が異なった。そして全ての試料について、プラズマからの熱による昇温と溶融を示す指標を定義し、その指標と、危険とされるアスペクト比が3以上のものの繊維の減少率(針状消失率)の相関を取ったところ、物質にかかわらず比較的良い相関が得られた。そして、この相関から、針状消失率がほぼ1となるための指標を知ることができ、円柱形の純アスベストを想定すると、直径が10μm以下のものであれば、本方法で針状を消失することができると推測され、本処理法の有効性が示された。また、ロータリーキルン型アスベスト処理システムを例に挙げ、ここから排出される含アスベスト排ガスの処理に、このマイクロ波処理装置を組み込む実用的な配置を提案し、本研究の総括とした。
|