研究概要 |
化学的不均質性については, シュベルトマナイトによるヒ酸の吸着機構を表面錯体モデルでほぼ表現することに成功した。また, データが予想以上にばらつき, 共存イオンの影響を検討するという課題が新たに浮上してきた。具体的には, 硝酸イオン, 腐植の影響が吸着機構に左右することが考えられ, 次年度はこれを明らかにする。また, カラム実験の整理も行われ, 種々の実験結果は大きな傾向としては表面錯体モデルでの予測と一致するが, これもばらつきが大きく, これについてはモデルで次年度にモデルで検討を進める。 モデルに関しては, パラレルチューブモデルに関して, 土壌のヒ素含有量と, シュベルトマナイトの含有量に正規分布を与えた場合の, 地下水へ浸透する水中のヒ素濃度の分布を得ることができた。吸着平衡が線形であれば, これらの分布は平均的にはほとんど影響を与えないが, Langmuirに代表される飽和値があるような平衡 (シュベルトマナイトもこれにあたる) の場合には, ヒ素分布, 吸着量分布は濃度の高いヒ素が流出する事故の確率を高めることになる。本年度はフレームワークが完成したので, 次年度はこれをいくつかの確率分布について検討する。 フィンガリング流の影響の検討方法について議論を重ねてきたが, ひとつには上記確率分布モデルで, フィンガリング流生じた部分でのヒ素量と吸着剤のアンバランスからリスクを計算する方法, もうひとつは, フィンガリングをネットワークモデル上で抽象化し, 流れから取り残される部分の大きさの分布を検討し, これが流出抑制につながるかどうかについて検討することとした。
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