研究課題/領域番号 |
19310050
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
井上 正志 京都大学, 工学研究科, 教授 (30151624)
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研究分担者 |
岩本 伸司 京都大学, 工学研究科, 助教 (50252482)
今村 成一郎 京都大学, 工学研究科, 研究員 (00027898)
金井 宏俶 京都大学, 工学研究科, 研究員 (40026050)
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キーワード | 一酸化二窒素 / 笑気ガス / 脱硝反応 / 硝酸製造プロセス / コバルト触媒 / 地球温暖化ガス / 表面酸素種 / アルカリ修飾触媒 |
研究概要 |
硝酸合成プロセスや医療現場などの固定発生源から排出されるN_2Oを直接窒素と酸素に分解する触媒を開発することを目的に研究した。この反応に高い活性を持つことを既に見出しているアルカリ修飾Co_3O_4触媒を、種々の方法で調製し活性を比較した。前駆体として炭酸コバルトが生成する場合に高い活性を示した。K修飾源も検討し、KOHで修飾するのが最も効果的で、Co^<3+>からCo^<2+>への還元温度と触媒活性の間に相関が認められた。この反応では水が強い阻害作用を持ち、水が触媒表面に吸着して活性点を覆うためと考えられたので、疎水性のシリカライトで触媒表面をコーティングした触媒を設計した。Co当たりの活性は向上したが、触媒重量当たりの活性はアルカリ修飾Co_3O_4と同等であった。反応における酸素分圧依存性を評価し、この触媒では酸素分圧の影響を比較的受けにくいことを見出した。また、この触媒上でのN_2O直接分解反応の活性化エネルギーは他の触媒系と比べて極めて低いことも明らかにした。さらに、触媒上にN_2Oを吸着させて昇温脱離挙動を評価することにより、窒素の脱離は極めて容易であるのに対し、酸素の脱離が困難であることを明らかにした。また、低温でN_2Oを吸着させた場合と、高温でN_2Oを吸着させた場合では、酸素の脱離挙動が異なることから、触媒の格子酸素が反応に関与していることが示唆された。N_2Oの分解反応に関連して、NOの直接分解反応やNOの炭化水素による還元も検討したが、アルカリ修飾Co_3O_4触媒はこれらの反応に極めて低活性で、逆にNOの直接分解に対して高い活性を持つCe-Mn複合酸化物担持バリウム触媒や、NOのメタン脱硝に対して高活性なAl-Ga複合酸化物触媒はN_2Oの直接分解反応に対して極めて低活性であった。
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