研究概要 |
大容量ディーゼルエンジンPM処理において,従来技術のDPFを使用して再生を行うと非常にコスト高となり実用化は困難で,安価で実用的大容量ディーゼル排ガスPM・NOx処理技術が望まれる。平成19年度では,イオン風を利用し,より効果的なPM捕集技術,つまり,静電流体(EHD)電気集塵装置(ESP)の設計,製作し,スモークテストによる微粒子の捕集可視化,イオン風の流れの制御から,最適電極位置の決定を行った。また,ディーゼルエンジン実排ガスを使用して,本研究で購入した希釈機と走査型モビリティーパーチクルサイザーを用いて20〜1000ナノメーターの粒子径を測定し,EHD ESPの粒子径による集塵効率の予備測定を行い,ディーゼルPM低抵抗微粒子の再飛散の抑制を確認した。 一方,NOx処理には排ガス温度が250℃以下では従来技術のSCR(選択触媒還元法)では対処できないので,排ガス温度が低温領域でも対応可能な方式として,NOを高湿度および温度領域(<200℃)においても効率よく吸着できる吸着剤(孔径10オングストロムのモレキュラーシープ 13X)に特殊触媒を担持した吸着剤(開発済み)で長時間NOとNO2を吸着させるNOx吸着工程と,吸着剤が飽和する前に,吸着剤ユニットを切り替え,そこに排ガス量の1/100程度の窒素を流す。エンジン出口排ガス部に取り付けた熱交換器によりNOxの熱脱離により脱離を行う。この窒素雰囲気NOx量は1/100程度となり,プラズマリアクタの大幅な小型化を達成できる。窒素雰囲気で熱脱離した高濃度(>2,500ppm)のNOとNO_2双方を沿面放電を用いた窒素プラズマにて効率よく還元できることを確認した。これらの2つの要素技術を用いてディーゼルPM・NOx排ガス高効率同時処理システムを用いて実用的.経済的トータル排ガス処理システムを構築する。
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