研究概要 |
1)HApの結晶構造と汚染物質固定能力:天然水や廃水中の共存物質を水酸アパタイト(HAp)の結晶中に固溶させる検討を行った。ある種のリン酸カルシウムを用いて鉄やケイ素の固溶を試みている。現在のところ,HAp結晶中への固溶は成功していないが,平成20年度も検討を続ける予定である。 2)複合廃水処理:ホウフ酸廃水の処理に必要な知見となる,ホウフッ化物イオンの自己分解反応のメカニズム,反応速度定数を評価できるツールを構築した。また,温泉などのホウ素,フッ素などの除去に用いる機能性材料の開発を,民間企業との協働研究により進めることができた。 3)実用化への展開:2)の検討に基づいて,平成20年度より民間企業に対して環境省環境技術開発等推進費が採択され,それをもとに実用的な水処理技術の検討がスタートする。その意味では,当初の研究計画で予定していた「実用化への展開」はある一定の成果を挙げたこととなる。 4)今後の展開:生物や自然中の物質循環にヒントを得た新しい環境浄化技術の学問体系の構築を最終目的に,研究者間のネットワークの構築をスタートさせている。それぞれの研究者が構築した知見を体系化,組織化することにより,新しい環境技術の構築が可能となると考えられる。
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