1.ダイナミックモード原子間力顕微鏡を用いて、CeO_2(111)表面を観察し、表面欠陥の分類を行った。そして、原子間力顕微鏡凹凸像とそれと同時に測定されたエネルギー散逸量の像によって、表面下の第三層に形成された酸素欠陥の位置を同定し、さらに高濃度な欠陥が存在する試料において、欠陥の間に弱い相互作用が働いていることを見出した。 2.CeO_2(111)表面上の吸着物の研究も行った。具体的には、CeO_2(111)表面上に吸着した水分子の振る舞いを室温と10Kの間の温度で観察した。そして、ダイナミックモード原子間力顕微鏡を用いて、個々の水分子を制御よく操作することに成功した。これにより、CeO_2(111)表面上の水分子などの吸着物に関する情報を多く得ることができた。 3.Si(111)-(7×7)表面でのSiアドアトムの空孔への水平原子操作を探針高さ一定モードで行うことによって、室温における原子操作が確率的に起こることを実証した。また、探針を試料に近づけることによって100%まで確率を増やせることを確認した。 4.Si(111)-(7×7)表面上で周波数シフト・マッピングを行うことによって探針先端の異方性を評価する手法を開発した。Siアドアトム上でのフォース・カーブの最大引力値を与える距離よりも探針を試料に近づけると、表面の対称性を破るマッピングが得られ探針先端の異方性を評価できる。この探針先端の異方性は(交換型)水平原子操作に影響を与えると考えられる。
|