研究課題/領域番号 |
19310069
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
田中 順三 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (10343831)
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研究分担者 |
生駒 俊之 独立行政法人物質材料研究機構, 研究員 (20370306)
坂根 正孝 筑波大学, 人間総合科学研究科, 講師 (30315684)
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キーワード | ナノDDS / 骨代謝・骨免疫制御 / ソフトナノテクノロジー / 破骨細胞 |
研究概要 |
本研究では、破骨細胞の働きを抑制するビスフォスフォネート(Bp: C_2H_8O_7P_2)の薬物送達(DDS: Drug Delivery System)担体としてリン酸八カルシウム(OCP: Ca_8(HPO_4)_2(PO_4)_4・5H_2O)に着目した。OCPは層状化合物であるため、層間にBpをインターカレーションできれば、破骨細胞の働きに応じてOCPが溶解されBpを放出する「細胞応答型DDS担体」としての応用が期待される。一方、OCPは準安定物質のため、合成時のpHやカルシウム/リン比によって容易に他のリン酸カルシウムとなる。そのため、BpをOCPと複合化しDDS担体とするためには、BpのOCP形成過程に及ぼす影響を明らかにすることが重要である。そこで本年度は、OCP合成プロセスにおけるBpの影響を調べることを目的とした。 OCPを、Bp非共存下でリン酸緩衝液と酢酸カルシウム水溶液から合成した場合、リン酸緩衝液のpHが低い時にはリン酸水素カルシウム二水和物(DCPD: CaHPO4・2H2O)が生成し、リン酸緩衝液のpHが6.7の時には、最も結晶性の良いOCPが得られた。合成時間を変化させると、時間とともに結晶相が変化し、初期(17分)ではDCPD相が見られるが、時間が経つ(180分)とOCP単相となった。このことから、OCPは、前駆的に形成したDCPDを経て生成すると考えられる。一方、OCPを、Bpを添加したリン酸緩衝液と酢酸カルシウム水溶液から合成した場合、180分の場合でもBpの添加量が多いときはDCPDが生成することがわかった。すなわち、Bpの共存下では、DCPDからOCPへの形成が妨げられる。また、OCPへのBpの吸着量は0.23μmol/mgであったことから、Bpと生成したリン酸カルシウムの化学結合がOCP形成に影響を及ぼしていると考えられる。 次に、α-リン酸三カルシウム(α-TCP: Ca3(PO4)2)の加水分解によってOCPを合成した。その結果、70℃、pH5で180分の反応によってOCPを形成させることができた。一方、α-TCP水溶液にBpを添加し同様の条件で反応させたところ、180分でもOCPは形成せず、α-TCPのままであった。すなわち、プロセスに関係なく合成系にBpを添加することで、BpはOCP形成に影響を及ぼすことが明らかとなった。
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