研究課題/領域番号 |
19310071
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
倉田 博基 京都大学, 化学研究所, 准教授 (50186491)
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研究分担者 |
根本 隆 京都大学, 化学研究所, 助教 (20293946)
小川 哲也 京都大学, 化学研究所, 助教 (40224109)
磯田 正二 京都大学, 化学研究所, 教授 (00168288)
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キーワード | 電子顕微鏡 / 球面収差補正 / 電子エネルギー損失分光 / 界面 / 欠陥 / ナノ計測 |
研究概要 |
本年度は、当該研究において使用する新規開発された電子顕微鏡の立ち上げとその基本特性を実験的に明らかにした。照射レンズ系の球面収差が補正された走査型透過電子顕微鏡(STEM)と、鏡体内に組み込まれたオメガ型エネルギーフィルターに関する以下の特性を明らかにした。 (1)収差補正STEMによる高分解能高角度暗視野(HAADF)像観察を実施し、その空間分解能を明らかにした。Siの[110]方位およびSrTiO_3の[001]方位から観察した原子分解能像のフーリエパターンより、0.08nmの空間分解能が達成していることを確認した。 (2)エネルギーフィルターを用いた電子エネルギー損失スペクトル(EELS)を測定し、エネルギー分解能0.3eVを確認した。また、(1)で得られるSTEM電子プローブを用いた局所解析では、0.4eVから0.5eVで内殻電子励起スペクトルが測定できることを起きらかにした。さらにエネルギー安定度は0.1eV/min以下が実現しており、高精度スペクトル解析が可能であることを明らかにした。 (3)収差補正STEMによる電子プローブの集束角度を測定し25mrad程度となっていることを確認した。これは、200kVのSTEMを用いたHAADF法では試料の深さ方向の分解能は8nm程度になることを示しており、有効な3次元観察を実施するには加速電圧の増加やより強力な収差補正を行い、深さ方向の分解能の改善が不可欠であることが判明した。 (4)固体内の界面・欠陥近傍の局所解析の実験を開始した。具体的にはSrTiO_3基板上に成長したBaTiO_3薄膜の高分解能HAADF観察およびEELS測定に着手し、位置分解EELSの計測条件を検討した。
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