研究概要 |
触媒反応を利用したウエットプロセスによるシリコンの微細加工技術開拓の基礎としで、触媒針を用い、その電位を外部から制御しながらそれをシリコンウエハに接触させ、シリコンへの孔形成過程を詳しく調べた。 触媒針として直径100μmの細線を、金属の種類を変えて用いて孔形成を調べると、Ir, Pt, Pdにより良好な細孔が形成された。ある速度での孔形成を実現するための電位は、Pdが最も低く、IrとPtはほぼ同程度であった。このことは、Pdが孔形成の触媒能が強いことを示しているが、孔の形状を制御しにくいという問題があることが分かった。 直径100μmPt針電極を用いて、シリコンウエハの特性と孔形成の関係を調べると、同じ電位においては、p型、n型によらず、ほぼ同じ速度で孔形成が起こることが確認された。ただし、p型のウエハに対しては、形成される孔に対して多くの電流が流れ、特に、比抵抗の小さいウエハについては、孔形成の電流効率は1%程度にまで低下した。 一方、n型のウエハでは、電流効率が高く、1Ωcm以上の比抵抗のウエハについては、30%以上の電流効率となった。 これらの結果に基づいて、触媒針とシリコンの接触箇所の周辺において、シリコンの電位分布が触媒針の電位、針と溶液界面の電気二重層、シリコンと溶液界面の電気二重層などにより決まっており、それらによってシリコンウエハの特性により、触媒針接触部分での溶解と、シリコン内への正孔注入の量的関係が変化するモデルを提唱した。 孔の位置制御のために、マニュピュレーター付触媒針による加工装置を作製し、任意の形状の溝形成が行えることを実証した。 触媒反応を利用したドライプロセスによる微細孔形成、およびSiCへの微細孔形成は、加工速度が遅く、さらに基本的な条件等の検討が必要であると判断した。
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