研究概要 |
1級アミノ基とアルデヒド基をそれぞれ複数個有する芳香族化合物同士を,水溶液中で反応させることで、シフベースで結合されたπ共役高分子が生成する。しかし、そのまま反応させると、不溶性の沈殿として回収されるだけである。そこでpHにより反応を制御することで、固液または液液界面に選択的に薄膜を成長させる化学液相成長法を考案し、検討した。溶液相では、ギリギリ反応が進行しない条件に設定しておくと、疎水性基板上において選択的に表面で反応が進行することを見いだした。さらに条件の制御により、単分子膜レベルの構造制御と多層膜の構造制御の両方が可能であることが明らかになった。また気液界面にも超薄膜を形成することに成功した。 単分子膜レベルでは、π共役高分子鎖の一次元配列や、ポルフィリンを用いた二次元π共役高分子の形成と観察に成功した。芳香族分子が自発的にπ共役で結合された一次元・二次元芳香族分子システムの構築は、バイオミメティックな分子デバイスへと向かう大きな一歩であると言える。 吸脱着平衡を界面側に少し動かしたり、反応平衡を反応側に少しシフトすることで、ナノ構造を有する多層膜が連続して生成する条件の探査にも成功した。様々な疎水基板上に一次元π共役高分子を自己組織的に成長させることが出来た。一次元π共役高分子系において、ナノシート構造やバンドル構造を作成する条件を明らかにした。この結果によって、機能分子をπ共役結合で自己組織的に結合した超分子構造を構築できる手法が明らかとなり、分子デバイスの自己組織的構築へと添加していくことが期待される。
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