サイズが2nm以下の光学活性(キラル)金ナノクラスターのシステマティックな合成に世界に先駆けて成功し、その光学活性の起源が表面配位子のもたらす不斉場にあるという概念を提唱した。更に、金に比べて約1桁大きな不斉光学応答を持つキラル銀ナノクラスターの作製にも成功した。この結果は巨大な光学活性性能を持つ金属クラスターの作製指針を与える重要なものとなった。また、その表面配位子の状態解明を目指して振動円二色性(VCD)を研究した結果、銀クラスター表面とカルボキシル基との相対的な配座関係が重要である事が分かった。更に、ナノクラスター表面配位子と、新たに加えたキラル分子との静電相互作用やボロン酸エステル結合生成を利用する事により、その金属ナノクラスターの不斉変換を達成した。以上、金属ナノクラスターの光学活性は、金属の種類や配位子の構造に大きく依存して発現していることを明らかにした。
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