研究課題/領域番号 |
19310082
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研究機関 | 日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
社本 真一 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究主席 (90235698)
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研究分担者 |
樹神 克明 日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究副主幹 (10313115)
田口 富嗣 日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究副主幹 (50354832)
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キーワード | ナノ粒子 / 2体分布関数 / PDF解析 / 中性子回折 |
研究概要 |
アモルファス物質や液体では短距離だけでなく、中距離の構造が重要な役割を担っている。また一方で、結晶には本質的な格子欠陥や格子歪みがナノスケールで存在し、それが材料を高機能化している。さらにナノ物質自身もまた、格子の周期性に限界があり、ナノスケールでの構造解析が必要である。このようなナノスケールでの構造解析が必要となる具体的な材料例として、水素吸蔵合金、リラクサー強誘電体、イオン伝導体、光相変化記録材料、強磁性微粒子、炭素電極材料などが挙げられる。このような材料の構造解析には、従来の空間群を用いた単純な結晶学サイトだけでは取り扱えないという共通の問題が存在する。今年度の研究成果としては、例えば2体分布関数を結晶性物質に対して用いた研究手法に関連した展開として、球と球殻について形状因子効果、粒子相関効果、小角散乱効果をまとめ、論文発表(J.Phys.Soc.Jpn.)を行った。具体的にはフラーレンを例として、球殻同士の相関は実験結果と同様に三角形になることを示した。この計算により球同士や球殻同士の相関を解析的にフィッティングすることが可能になった。また鉄系超伝導体LaFeAsO1-xFxの研究では、母相(x=0)で見つかっている正方晶-斜方晶構造相転移について、超伝導相は平均構造としては正方晶であるが、局所構造としては斜方晶歪が存在する可能性を国際会議(M^2S)にて発表した。また、実用材料である強誘電体メモリーでも、その記録には局所構造歪が関わっていることがわかった。これらに加えて、新しい世界的な研究の進展状況について、物性若手夏の学校や茨城大学での講演会、液体・非晶質材料分科会ユーザーズグループミーティングなどで紹介し、その講義資料として物性研究誌に発表するなど、研究内容の社会への情報発信を積極的に行った。
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