研究概要 |
1.結晶構造探索システムの開発 遺伝的アルゴリズムを用いて結晶構造候補を大量に自動生成し最適結晶構造を探索するプログラムのプロトタイプを開発した。このプログラムを活用して硫化水素H_2Sの高圧相の新結晶構造を発見した。現在、その結晶構造の持つ物性を第一原理計算により評価している。結果の詳細は2009年7月に開催される高圧物理の国際学会AIRAPT22で発表する予定である。これらの成果は結晶構造探索システムの有効性を示す重要なものである。 2.電子状態計算における数値計算加速装置の利用法の研究 GPUとは本来パソコンの画像処理用計算装置であるが、近年の驚異的なゲーム機の発達の結果、科学計算に応用してもCPUを凌駕する計算速度を持つようになった。GPUは特に行列計算やフーリエ変換が得意なので、量子シミュレーションの高速化に最適である。本研究では、O(N) Tight Binding Molecular DynamicsをGPUを用いて加速し、C60ポリマーの結晶構造と振動物性の研究を行った。また、平面波基底の計算をGPU用FFTを用いて加速する可能性について評価した。 [1] T. Iitaka, The 11th Asian Workshop on First-Principles Electronic Structure Calculations (ASIAN11), Kaoshung, Taiwan (2008).
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